白浜層群とは(続きを読む)
約1000万年~200万年前のあいだに、フィリピン海プレートの北上に伴って、伊豆の土台の海底火山群はしだいに、浅い海となり、一部は海面上に姿をあらわし、火山島になりました。この時期に噴出した溶岩や火山礫・火山灰などの地層を白浜層群と呼びます。
伊豆半島で三番目に古い地層で、伊豆半島と本州の衝突により隆起したため、半島南部の海岸や山中を中心に広く分布しています。
- 地域
- 伊豆半島各地
- 地層分類
- 約1000万年前~200万年前
- キーワード
- 浅い海底火山白浜層群
白浜層群の代表的な見どころ
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南伊豆エリア・白浜白浜大浜
白浜大浜の白い砂は、周辺の白浜層群の凝灰質砂岩に含まれる軽石、貝殻やサンゴ・ウニなどの化石が波で打ち寄せられたものです。
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南伊豆エリア・田牛龍宮窟
水底土石流の凝灰質砂岩が海側の割れ目から少しずつ海食されて、大きな空洞ができ、その後に薄くなった天井が崩落して、天窓が開きました。
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西伊豆エリア・枯野公園オンビ
オンビと呼ばれる磯場では、黒々とした水冷破砕岩と黄白色の軽石・火山灰層の上を、灰色の水底土石流が覆っています。
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西伊豆エリア・堂ヶ島堂ヶ島
海底火山から噴出した軽石・火山灰が堆積した白い崖が独特の景観を見せてくれます。激しい波に洗われていつも新鮮な表情をしています。
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西伊豆エリア・堂ヶ島火山弾
海底火山から吹き飛ばされたマグマが火山弾となって、堆積していた軽石・火山灰層に落下し、めり込みました。熱くて固まっていない火山弾は餅のように広がったようです。水冷破砕された火山弾には多数の亀裂があります。
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中伊豆エリア・修善寺温泉桂川
桂川の川床の露頭は、海底火山から噴出した軽石と火山灰の堆積した白色凝灰岩です。
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西伊豆エリア・松崎町室岩洞
松崎から岩地(いわち)に至る国道の海岸下に、白浜層群の軽石凝灰岩・凝灰質砂岩からなる伊豆石(軟石)の石丁場跡が観光用に公開されています。
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南伊豆エリア・入間千畳敷
三ツ石岬手前の一色凝灰岩が波食されたテラスが広がり、その広さから千畳敷と呼ばれます。
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南伊豆エリア・弁天島斜交層理
数百万年前に海底火山から噴出した火山灰や軽石が降り積もってできた地層です。その後の隆起で波に浸食されました。
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北伊豆エリア・口野石丁場跡
口野(くちの)の放水路出口付近の崖は、海底にたまった火山灰・軽石が堆積した凝灰岩です。伊豆石(軟石)が切り出された石丁場には縞々の地層が見えます。浅い海底で波の影響でできた斜交層理も観察できます。
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中伊豆エリア・大仁城山
狩野川沿いにそびえる岩峰の城山は、海底火山の直下でゆっくりと冷え固まったマグマが、後の浸食によって洗い出された火山の根です。
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南伊豆エリア・下田市街下田富士
本郷富士とも呼ばれ、位置によっては尖った三角に見える山体も火山の根です。
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南伊豆エリア・下田市街寝姿山
下田富士の東に見える連山を離れて見ると、女性があおむけに寝ているように見えることから、名前が付きました。寝姿山も火山の根です。
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西伊豆エリア・雲見烏帽子山
南の千貫門(せんがんもん)から見上げる烏帽子山は標高160mの火山の根です。周囲の火砕物は侵食されて、海から屹立する急峻な烏帽子山は冷え固まったマグマそのものなのです。
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中伊豆エリア・白鳥山採石場
城山の西南にある山の西南斜面には、柱状節理の大露頭があり、今でも採石場として利用されています。
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西伊豆エリア・黄金崎馬ロック
黄金崎周辺の赤褐色の崖は、白浜層群の海底火山からの噴出物が堆積したものが隆起しました。その後の百数十万年前~60万年前に噴火した東側の火山のマグマに温められた熱水(約400℃)が周囲の鉱物を溶かして、地下の噴出物の割れ目を上昇していく途中に、周囲の古い地層を変質させたものです。
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西伊豆エリア・浮島岩脈群
浮島の南の海岸には、約1000万年前から200万年前に活動した海底火山にマグマを供給した岩脈が造った奇岩がいくつもあります。岩脈周囲の噴出物は侵食されて、固い岩脈だけが、その後に隆起したのです。
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東伊豆エリア・網代屏風岩
網代の立岩海岸には、貫入した岩脈が屏風のようにそそり立ちます。貫入された母岩は侵食されています。