• 大型陸上火山の時代:熱海層群・中部

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熱海層群・中部とは(続きを読む)

 約100万年前には伊豆全体が陸地となりました。陸地となった伊豆半島の各地で、現在も山としての地形を残す大型の火山が噴火を始めました。天城火山、多賀火山、達磨火山をはじめとする13の火山が伊豆半島の原型を作りました。

 これらの火山の大部分は、複成火山と呼ばれ、ほぼ同じ場所で数万年~数十万年間にわたって噴火を繰り返し、大型の山体をつくります。約20万年前にはこれらの大型火山は噴火を止めてしまいました。この時代を熱海層群・中部と呼ぶことがあります。


陸上大型火山の時代
地域
伊豆半島各地
地層分類
約100万年前~20万年前
キーワード
熱海層群・中部大型陸上火山

熱海層群・中部の代表的な見どころ

  • 南伊豆エリア・暗沢山
    蛇石火山(1.4Ma~1.3Ma)
    蛇石火山・暗沢山

     現在の天神原や大池あたりで噴火した蛇石火山は、長い間の浸食により、なだらかな高原を造りました。火口の位置や元の形ははっきりとしません。
    暗沢山(くらさわやま)は侵食された蛇石火山のピークのひとつです。

  • 中伊豆エリア・棚場山
    棚場火山(百数十万年前~800Ka)
    棚場火山

    舩原峠の南にある棚場山は、今から百数十万年~80万年前に噴火した棚場火山の西側斜面がほとんど侵食されて、残されたピークです。

  • 中伊豆エリア・達磨山
    達磨火山(1Ma~500Ka)
    達磨火山

    約100万年~50万年前に噴火を繰り返して成長した達磨火山の山頂はスズタケで囲まれているものの、360度の展望が可能です。

  • 中伊豆エリア・中伊豆ワイナリー
    宇佐美火山(1Ma~500Ka)
    宇佐美火山

    ブドウ畑の広がる丘陵は、宇佐美火山の溶岩流がつくった台地です。明るく開けていて、富士山や天城火山などの地形観察に適します。

  • 中伊豆エリア・天子山山頂
    天子火山(1Ma~400Ka)
    天子火山

    天城山の北に位置する小さな天子山は浸食が進んで、元の火山地形は失われてしまいました。

  • 中伊豆エリア・猫越岳
    猫越火山(1Ma~600Ka)
    猫越火山

    西伊豆スカイラインから展望すると、猫越火山のなだらかな稜線が見えます。

  • 北伊豆エリア・十国峠
    湯河原火山(800Ka~300Ka)
    湯河原火山

    湯河原火山の東半分が大きく侵食されて残った外輪山のひとつで古くから、火が峰、日が峰、日金、丸山、国見岳などと呼ばれてきました。周囲が切り立った斜面で囲まれているため、360度のパノラマが得られます。

  • 東伊豆エリア・天城火山南東斜面
    天城火山(800Ka~200Ka)
    天城火山

    天城山は、最高峰の万三郎岳と万二郎岳・遠笠山などの山々が連なる天城連山の総称です。天城火山が幾度となく噴火を繰り返して成長して、伊豆半島の中央部の東西に広がる山体は、その後の浸食により南東斜面が大きく崩壊しました。

  • 北伊豆エリア・玄岳
    多賀火山(800Ka~500Ka)
    多賀火山

    玄岳(標高798m)は、多賀火山(最新の地質図幅では、熱海火山 700Ka~450Ka)が大きく侵食されて残ったピークと考えられています。

  • 北伊豆エリア・大瀬崎火山・南火道
    大瀬崎火山(井田火山よりやや古い)
    大瀬崎火山

    大瀬崎の西海岸では、大瀬崎火山のマグマの通り道であった火道とそこから噴出した溶岩流を観察できます。

  • 西伊豆エリア・井田
    井田火山(800Ka~400Ka)
    井田火山

    井田火山が達磨火山の北西で噴火しましたが、激しい侵食を受けて、元の山体はほとんど残っていません。

  • 西伊豆エリア・長九郎山頂
    長九郎火山(600Ka)
    長九郎火山

    天城火山の南西で噴火した長九郎火山は、激しい侵食を受けて山体のほとんどは失われてしまい、今ではなだらかな斜面が残ります。

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  • 南伊豆エリア・池ノ原
    南崎火山(400Ka)
    南崎火山

    伊豆半島の陸上火山の最南端となる南崎火山の海側は侵食されて、小さなテラス状の草原を残しました。

  • 西伊豆エリア・宇久須の珪石鉱山
    小下田安山岩類(百数十万年前~1Ma)
    宇久須の珪石鉱山

    宇久須川の支流・赤川の上流の稜線上に珪石鉱山があります。湯ヶ島層群に属する小下田安山岩類の火山砕屑物が棚場火山の熱水変質作用を受けて、高純度の珪石となりました。


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