土肥(とい)は伊豆市・西部の駿河湾(するがわん)に面した港町です。棚場(たなば)火山(百数十万年前〜80万年前)の西側斜面が浸食されてできた谷の扇状地に土肥があります。
土肥金山は、昭和40年の閉山までおよそ600年でのべ約100キロメートルを掘り進み、約40トンの金と、約400トンの銀が採れたそうです。
昭和40年に金鉱としては閉山していますが、観光用の坑内では江戸時代の採掘の様子を再現しています。坑道の入口は釜の口と呼ばれていました。
- 地域
- 西伊豆エリア
- ジオサイト
- 土肥金山
- 地層分類
- 湯ヶ島層群の安山岩の断層でできた割れ目に、棚場火山のマグマだまりで熱せられ、金銀などが溶けている熱水が昇ってきて、地下で析出しました。
- 住所
- 静岡県伊豆市土肥2726
- キーワード
- 金鉱跡
Information
- あり-無料-200台
- 修善寺駅発の東海バスに乗車、土肥金山バス停で下車すぐ
- あり
- 難易度
- ハイキング
周辺の見どころ
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観光坑道出口
観光坑道の出口は、最初に採掘された坑道の入口に相当し、ここから金鉱脈を追って掘り進めたそうです。
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金鉱脈
最初に見つかった金鉱脈だそうです。
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観光坑道内部
実際の坑道は地下に幾層にもわたって掘られていますが、観光用には地上に相当する坑道だけを見学できます。
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金鉱脈
坑道の天井と壁に金鉱脈を観察できます。
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水替井戸
採掘の妨げになる湧水をくみ取って、坑外に排出するのも大事な仕事です。井戸の周囲は黄鉄鉱が褐鉄鉱に変性して赤く見えます。
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金龍(きんりゅう)
水替井戸の反対側の壁には、金龍と呼ばれる純度の高い金鉱脈が見られます。
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坑内の作業
江戸時代の採掘は全部手作業で大変でした。金鉱石を掘るのは男性の仕事で、女性は掘った石を運び出すのが仕事で、どちらも力仕事でした。
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野外展示されている金鉱石
しましまの黒いところに金が入っています。
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金鉱石の屋内展示
土肥金山の金鉱石は1トンから20~30グラムの金が採れた良質なものでした。この展示品が超優良の金鉱石だそうです。
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大金塊
250Kgの世界一大きな金塊で、17億円に相当します。
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砂金採り体験
川の中にある砂利から皿を使って砂金を見つける体験ができます。
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土肥金山全景
土肥金山の坑道は地下に広がります。
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龕付(がんつき)天正金鉱
土肥金山の南隣には、別の観光金山があります。柿木間歩(かきぎまぶ)と呼ばれる坑口から入ります
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坑道
江戸時代に金を手掘りした数々の工夫が残ります。換気の限界から約60mで、採掘を中止しました。最奥部の金鉱脈を山の神として祀り、手前が厨子に見立てた龕として穿たれています。
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龕(がん)
山の神に相当する最奥部の金鉱脈です。
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釜屋敷の精錬所跡
水銀を使って金精錬が行われた場所です。
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釜屋敷裏の露頭
この露頭が、アルカリ玄武岩の貫入岩でしょうか?
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釜屋敷裏の林道
この露頭が、アルカリ玄武岩の貫入岩だろうか?
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清越(せいごし)鉱山跡
閉山された鉱山で、かつては金銀が採掘されていました。
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新田の露頭
清越鉱山跡付近の林道沿いの露頭は安山岩由来で、酸性の熱水により変質したそうです。斜長石が溶けだした隙間にミョウバンが入り込んだりダイアスポアなども析出しているそうです。
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地蔵淵(じぞうぶち)の石英脈露頭
ここが清越鉱山1号脈の発見につながった露頭だそうです。脈幅10cmの石英脈で黄鉄鉱が酸化して鉄さびを生じています。この脈には金鉱脈は含まれていなかったが、山師はこれらの脈を見つけて、近くに鉱脈があることを察知するそうです。
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石英脈
地蔵渕の露頭には石英脈が走り、脈の周囲には、沸石などが見え隠れします。
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採石場跡
棚場火山の岩脈の熱により、周囲の湯ヶ島層群の地層が熱性変性を受けました。熱水変性の温度分布から、この近くが棚場火山の給源に近いそうです。
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安楽寺のまぶ湯
金を採掘していた坑道から温泉が出たそうです。土肥温泉発祥の地として、諸病平癒の霊泉として使われています。
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波尻(なみじり)観音
馬場二つ石の道祖神ですが、安政地震の津波がここまで来たので、波尻観音とも呼ばれます。
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通り崎(とおりざき)
土肥港の西に出っ張っている小さな岬ですが、磯伝いにはアクセスできません。
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通り崎先端
陸からのアクセスも禁止となっているので、海からしか眺めることができません。