入間は奥石廊(おくいろう)と呼ばれる険しい海岸線の中にできた小さな入り江を持つ漁村です。北隣の吉田と並んで、伊豆の秘境ともいわれます。その入間から、断崖絶壁につけられた遊歩道を歩いて到達できるのが千畳敷です。
千畳敷の西には、三ツ石岬(みついしみさき)と呼ばれる海底火山が造った荒々しい地形が目に入ります。約1000万年~200万年前に活動した海底火山の噴出物が多様な地層・地形をもたらしました。
Information
- あり-無料-数十台(夏季有料)
- 伊豆急・下田駅からバス、[入間]バス停下車、徒歩40分
- あり
- 難易度
- ハイキング
- 安全情報
- 千畳敷への遊歩道は、急斜面の崖を通ります。転倒・転落・落石などに最大の注意を払い、通行してください。
周辺の見どころ
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三ツ石岬(みついしみさき)
三ツ石岬の先端は、下部の白い一色(いしき)凝灰岩層に貫入した黒い岩脈から供給されたマグマが噴出して、上部を覆っています。
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三ツ石岬・空撮
三ツ石岬の北側を見たくて、空撮してみました。
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三ツ石岬 3Dモデル
静岡県点群データから、三ツ石岬周辺の地形を3Dモデルにしてみました。
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離れ根
三ツ石岬の先端の離れ根は、4つほどの小島が続いています。これが三ツ石の謂れなのでしょうか? 大きい島は岩脈で、柱状節理が発達しています。
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三ツ石岬の西側
北の吉田の鍛冶屋浜(かじやはま)から千畳敷を遠望すると、絶壁の果てに三ツ石岬が見えます。
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大岩脈(だいがんみゃく)
千畳敷の崖の一色凝灰岩層に貫入した吉田安山岩の大きな岩脈には、別の岩脈が二重に貫入しているようです。大岩脈の右下あたりに、タツノオトシゴのように見える小さな岩脈があります。
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千畳敷(せんじょうじき)
三ツ石岬手前の一色凝灰岩が波食されたテラスが広がり、その広さから千畳敷と呼ばれます。
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石丁場跡(いしちょうばあと)
千畳敷では、かつて伊豆石(軟石)の採石が行われており、火山灰の地層を人工的に切り出した跡も残ります。
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岩脈(がんみゃく)
小さな岩脈が凝灰岩に貫入していて、触れることができます。その下部には、安山岩の破片を挟む砕屑(さいせつ)岩脈が露頭します。
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ハンモック斜交層理(しゃこうそうり)
千畳敷の凝灰岩が侵食された断面には、浅い海底の波浪によって形成されたハンモック状の斜交層理が見られます。
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火山豆石(かざんまめいし)
千畳敷への遊歩道の途中の崖には、砂泥互層に挟まれた火山豆石(ダマ状の火山灰が圧力で扁平になる)が見られます。
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リップルマーク?
遊歩道途中の崖に、シルト岩が露頭して、リップルマーク(生痕化石?)のような模様が見えます。
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迷いヘビ
遊歩道途中の崖にも、細い岩脈が貫入しています。地元の人は、迷い蛇と呼んでいます。
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転石(てんせき)
遊歩道下の海岸には、縞模様のあるカラフルな石が転がっています。崖から落ちた転石が波で洗われたようです。
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岩脈
入間港の突堤から西の崖下に、白い一色凝灰岩層に水平に貫入する黒い岩脈(シル?)が見えます。
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スズメバチ
岩脈の右端には、スズメバチのような形のシルが見える。
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入間港
入間の漁港は、突堤に護られて波静かです。
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港東の崖
港の南側の崖も、一色凝灰岩を吉田安山岩を覆っています。
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岩脈
一色凝灰岩を吉田安山岩の岩脈が貫入してます。岩脈には複雑な節理が発達しています。
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トサカ岩
入間港の西側の根浜にあるトサカ岩。柱状節理が見られるので、岩脈のようです。
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トサカ岩の3Dモデル
トサカ岩を真上から見ると、鶏冠のように見える。
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不整合(ふせいごう)
貫入岩に押されて傾斜した凝灰岩層の上部が削られ、その上に不整合で水冷破砕岩が覆います。
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水冷破砕岩
入間漁港西の崖に、水冷破砕岩が露頭します。
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石廊崎断層
入間港の駐車場から見える南東の洞は、石廊崎断層が横ずれしてできたものです。
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海蔵寺(かいぞうじ)近くの正断層(せいだんそう)
入間の海蔵寺近くの道路の崖に、きれいな正断層が露頭します。
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面無し(めんなし)断層
断層の境界に破砕面が見えない面無し断層と考えられています。
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正断層の3Dモデル
正断層の3Dモデルを作成しました。
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ニール号遭難者十字架塔
海蔵寺墓地の入間の海を見下ろす高台に、明治7年に三ツ石岬の暗礁で座礁・沈没して亡くなったフランス籍のニール号乗員の慰霊碑が建ちます。
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海食洞の石仏群
山門手前の凝灰岩を掘って作った洞窟内に石仏群が祀られています。
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入間港の天の川
入間港の南には、光害の少ない星空に天の川が立ちます。