地形とは、地表の高低や起伏の形を指します。
伊豆ジオ遺産では、火山地形と、堆積地形、侵食地形、地殻変動、他による地形などを伊豆半島で観察できる特徴的な地形を紹介します。(但し、専門的な分類とは異なるものもあります。)
滝・池・岬・島・巨石も含みます。
- 複成火山:ほぼ同じ場所から休止期間をはさみつつ数万~数十万年間にわたって噴火をくりかえし、結果として大型の山体をつくる火山
- 単成火山:一度だけ噴火した後に同じ火口からの噴火を止めてしまう火山
- 火山の根:火山の直下で冷え固まったマグマが、後の浸食によって洗い出されたもの。火山岩頚とも呼ばれます。
- 火口:地下のマグマや、火山ガスに運ばれた岩塊などの固体〜液体が地表に噴出する(または過去に噴出した)穴
- タフリング:水蒸気爆発またはマグマ水蒸気爆発により形成された円形の火口で、火口底が地下水系より高くて水が溜まらない地形
- マール:水蒸気爆発またはマグマ水蒸気爆発により形成された円形の火口で、火口底が地下水系より低くて水が溜まっている地形
- スコリア丘:スコリアが火口の周りに降り積もってできた火砕丘
- スコリアラフト:溶岩流に浮かんで運ばれたスコリア丘の断片
- 溶岩ドーム:火山から粘度の高い水飴状の溶岩が押し出されてできた、ほぼドーム状の地形
- 火山扇状地形:火山体を刻む谷の谷口を扇頂として裾野に広がる扇状地
- 溶岩台地:1枚または多数のごく流動性に富んだ大量の溶岩流で形成された台地
- 溶岩トンネル:溶岩流の表面が冷却・固結し、内部の熱い溶岩が流出して生じるトンネル状の空洞
- 溶岩洞穴:溶岩トンネルの天井などが崩れて穴が開いた洞穴
- 溶岩塚:溶岩流の表面が冷え固まった時に、まだ流れようとする内部の溶岩が、表面の「固まった溶岩」を持ち上げて亀裂と共に膨張した塚のような地形
- 溶岩樹型:粘り気の少ない溶岩が森林などを流れ下る時に,樹木を巻き込み幹を取り込んで固まったもの
地形の代表的な見どころ
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中伊豆エリア・達磨山火山地形・複成火山
複成火山は大型に成長しますが、その後の浸食や崩壊で、山体の全容をつかむのは困難です。その中でも達磨火山は周囲から良く見えます。
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東伊豆エリア・大室山火山地形・単成火山
どこから見ても、プリンやお椀を伏せたような美しい山容の大室山は、伊豆東部火山群を代表する単成火山のスコリア丘です。
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西伊豆エリア・烏帽子山火山地形・火山の根
山が多い伊豆半島の中でも、ひときわ人目を引いてそびえたつ奇岩や奇峰がいくつかあります。雲見の烏帽子山を含めてそれらの奇岩・奇峰は火山の直下で冷え固まったマグマが、後の侵食で洗い出された火山の根にあたる部分です。
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東伊豆エリア・鉢ヶ窪(はちがくぼ)火口火山地形・火口
伊豆東部単成火山群のひとつである鉢ヶ窪火口は小さいながら火口の地形を残しています。
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東伊豆エリア・梅木平火山・地久保火山の地形火山地形・タフリング
梅木平火山と地久保火山は、噴火年代は違いますが、マグマが大量の地下水と触れ合って起こした水蒸気マグマ爆発でできた火口の周りにリング状の高まりをつくりました。
他の見どころ -
東伊豆エリア・一碧湖と沼池火山地形・マール
一碧湖と沼池は約10万年前の同時期に噴火したマグマが大量の地下水に触れて起こした水蒸気マグマ爆発でできた凹地で、マールと呼ばれます。
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中伊豆エリア・鉢窪山火山地形・スコリア丘
道の駅[天城越え]から見える鉢窪山は、伊豆東部火山群に属する火山から噴出したスコリア(マグマのしぶき)がつくったプリン状の丘です。
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東伊豆エリア・さくらの里火山地形・スコリアラフト
大室火山のスコリア丘の一部を壊して流れ出た溶岩が周りのスコリアを巻き込んで運んでいるときに、スコリアが溶岩にまとわりついたものです。
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東伊豆エリア・矢筈山火山地形・溶岩ドーム
矢筈山は、粘り気の強い溶岩が盛り上がってできた溶岩ドームです。粘り気の多い溶岩は、伊豆東部火山群の若い年代に噴火した単成火山に多く見られます。
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南伊豆エリア・鉢ノ山火山地形・火山扇状地形
鉢ノ山の南東麓から佐ケ野川の谷を流れて溶岩流は、下佐ケ野付近で溶岩扇状地をつくりました。
他の見どころ -
中伊豆エリア・長野火山地形・溶岩台地
国士越南火山は谷に沿って西に流れ、下流の谷を埋め尽くし、南北幅300m,東西幅800mの溶岩台地をつくりました。
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北伊豆エリア・楽寿園の深池火山地形・溶岩トンネル
深池は、大きな溶岩トンネルの天井に相当する部分が崩落したものと考えられています。池の左手前にかまぼこ型の小さな溶岩トンネルが見えます。
他の見どころ
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東伊豆エリア・穴ノ原溶岩洞穴火山地形・溶岩洞穴
岩室山方向から流れてきた大室火山の溶岩流の内部にできた溶岩トンネルが崩壊して、溶岩洞穴が上から見られます。
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北伊豆エリア・割狐塚稲荷神社火山地形・溶岩塚
割狐塚稲荷神社は、大きな溶岩塚の上に設けられています。溶岩塚は、冷え固まり始めた溶岩が、後からきた溶岩に押されて、膨張して亀裂が入った小さな丘のような形をしています。
他の見どころ -
北伊豆エリア・鮎壺の滝火山地形・溶岩樹型
鮎壺の滝の溶岩崖の庇に、いくつかの溶岩樹型が見られます。最大のものは、直径1m、高さ7mといわれています。
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北伊豆エリア・大瀬崎堆積地形・砂嘴
大瀬崎神社のある大瀬崎は、駿河湾の海流に運ばれた砂礫が堆積してできた砂嘴と呼ばれる地形です。
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西伊豆エリア・井田堆積地形・砂洲
駿河湾の海流に運ばれた砂礫が堆積してできた砂嘴ができました。砂嘴の内側にはかつて入り江がありましたが、山からの土石流によって埋め立てられて平地となりました。砂嘴は閉じて、砂洲となりました。
他の見どころ -
南伊豆エリア・田牛堆積地形・砂堆
龍宮窟の北の元根浜には、海岸の崖が侵食された軽く白い砂が風の力で、噴き上げられる砂堆といわれる珍しい地形があります。
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北伊豆エリア・松毛川堆積地形・三日月湖
松毛川は、かつては狩野川の一部でしたが、昭和初期の堤防工事により、三日月型の止水域が残りました。
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中伊豆エリア・八丁池堆積地形・せきとめ湖
噴火を繰り返して成長した天城火山。その山中に発生した断層ずれにより谷がせき止められた窪地に水が溜まって八丁池となりました。
他の見どころ -
南伊豆エリア・三穂ヶ崎侵食地形・海食崖
南伊豆から西伊豆の海岸では、波浪や風雨で侵食された険しい断崖絶壁が露頭します。
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南伊豆エリア・恵比須島の千畳敷侵食地形・波食台
恵比須島の南東に広がる凝灰岩の波食台は、隆起した凝灰岩の岩場が波食されて平らな磯となりました。
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南伊豆エリア・子浦の三十三観音侵食地形・波食窪
子浦の三十三観音は、水底土石流の崖が波食された窪の下に祀られています。波打ち際にあった崖が約30m隆起したことを物語ります、
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西伊豆エリア・浮島侵食地形・海食洞
浮島海岸には、岩脈群が海食された海食洞が列をなします
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南伊豆エリア・白浜海岸侵食地形・ポットホール
火逹山の海岸の凝灰岩の波食棚には、大きなポットホールが潮だまりをつくっています。
他の見どころ -
東伊豆エリア・初島地殻変動地形・隆起
初島は、相模灘に浮かぶ周囲4Kmの小島です。
火山活動でできた島が侵食されて海中に沈んで、その後に隆起した島と考えられています。1923年の関東地震の際には、約2m隆起しました。他の見どころ -
中伊豆エリア・城地殻変動地形・沈降
昭和5年の北伊豆地震の時に、隆起地形と城川を挟んだ北側の山の上にあった桑畑は陥没しました。川の流れには影響が無かったので、川越地すべりとの解釈がされています。
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北伊豆エリア・池ノ山峠地殻変動地形・断層
玄岳の西側斜面に刻まれた鞍部は池ノ山峠と呼ばれ、丹那断層が数十万年かけて繰り返して活動して、垂直に約100mもの断層谷を刻みました。
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北伊豆エリア・丹那盆地地殻変動地形・盆地
伊豆スカイラインの駐車場から、丹那断層がつくった丹那盆地が見えます。
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南伊豆エリア・三ツ石岬地殻変動地形・撓曲
三ツ石岬の北側手前の崖には、一色凝灰岩層中に生じた撓曲構造が露頭します。
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東伊豆エリア・細野湿原地殻変動地形・湿原
細野湿原は、天城火山が侵食されて土石流として流れ下った泥流堆積物に覆われ、4つの高原湿地をつくり出しました。
他の見どころ -
南伊豆エリア・大浦湾地殻変動地形・津波石
大浦の波食棚には、津波で運ばれたと考えられる大岩が転がっています。
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中伊豆エリア・浄蓮の滝滝
約1万7千年前に噴火した鉢窪山(はちくぼやま)からの溶岩流は、茅野(かやの)の台地を造り、狩野川をせき止めて、浄蓮の滝を作りました。
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伊豆エリア・八丁池池
約80万年から30万年前に噴火を繰り返して成長した天城(あまぎ)火山。その山中に発生した断層ずれにより谷がせき止められた窪地に水が溜まって八丁池となりました。
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伊豆エリア・戸田 御浜岬岬
美しく湾曲した地形を見せる御浜岬は、駿河湾の海流に運ばれた砂礫が堆積してできた砂嘴です。
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伊豆エリア・初島島
初島は、静岡県熱海市に属する島で、伊豆半島東方沖の相模灘(さがみなだ)に浮かぶ周囲4Kmの小島です。伊豆半島の島の中で唯一の有人島です。
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伊豆エリア・巨石
函南町の東側の山地には、巨石が点在します。いずれも、熱海火山の崩壊の際に転がってきた転石と考えられます。