約1万年前に富士山から流れ出した玄武岩の溶岩流は、愛鷹山(あしたかやま)と箱根山の間の谷間を埋めて流れ下り、約40km南にある現在の三島の地を末端として、冷え固まりました。楽寿園周辺はその末端に位置します。不毛だった溶岩台地に今では樹木が自生していて、自然あふれる園内各地で溶岩流の微地形を観察できます。小浜池では夏から秋にかけて富士山からの湧水が湧き出します。
Information
- あり-有料-82台
- JR東海道線・三島駅の南口から徒歩2分
- あり
- 難易度
- ハイキング
- 安全情報
- 園内には、溶岩や樹木の根が露出している箇所があります。
周辺の見どころ
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小浜池(こはまいけ)
冬から初夏にかけては、小浜池の湧水は枯れてしまいます。その代わり、三島溶岩流の末端部の荒々しい姿を見ることができます。
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小浜の森・溶岩塚
小浜の森は楽寿園内の最北部の標高約40mにあります。溶岩流はこの付近から南に流れ広がりました。溶岩流の内部のトンネルのガスの圧力でトンネルが爆裂して、下部の三層の溶岩流が露頭しています。それぞれの層の間にガス溜りが見えます。左に見える最上部の溶岩流は、採石された跡です。
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小浜の森・縄状溶岩
溶岩塚の膨張に伴って、溶岩流先端の表面にできかけていた縄状溶岩を含む外殻の中央部が持ち上げられて、ひびが入っています。
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小浜の森・植生
楽寿園内の樹林は、溶岩のわずかな亀裂に根を張って生きています。ここでは、アラカシ・カゴノキ・コナラ・アカマツの4本の樹立ちが共生しています。
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のりもの広場の溶岩流切断面
のりもの広場北の溶岩流切断面で三層の溶岩流が観察できます。上の二つの層の間にはガス溜りが見られます。下部の層が上の二層をわずかに持ち上げているようです。最上部の層は採石されています。
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中門の溶岩流断面
中門の西側の露頭は、別邸に通ずる道を作るために削られた溶岩流の断面を観察できます。溶岩流の厚さは数十センチで、下ほど新しい溶岩流です。下部の溶岩は上の溶岩流に覆われてゆっくりと冷却したので、内部のガスが上の溶岩流との境界まで上昇したので、気孔の少ない溶岩となりました。
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縄状(なわじょう)溶岩
楽寿館手前の常盤(ときわ)の森では、太い縄が束のように連なったように見える縄状溶岩が見られます。溶岩流の先端部で、冷え固まり始めた表面が、内部の熱い溶岩の動きにより、しわしわができました。
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楽寿館
明治時代に、小松宮親王の別荘として造営された御殿の一部が、楽寿館として一般公開されています。
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深池(ふかいけ)
大きな溶岩トンネルの天井に相当する部分が崩落したものと考えられています。以前は、湧水が湧き出して池のようだったことから、深池と名付けられました。
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中の瀬
小浜池に造られた小浜堤の南(標高約26m)は、お茶水・はやの瀬・中の瀬・せりの瀬と呼ばれ、溶岩流の隙間から湧水が湧き出します。
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源兵衛川(げんべえがわ)・源流
三島駅の北にある工場が冷却水として利用した柿田川の水(約3万トン/日)を、源兵衛川の水源として活用しています。導水管で供給された水は、ここで小浜池の湧水と合流して、源兵衛川の源流となります。
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緒明記念の森
以前に、街の森公園として開放されていた緒明家の庭園の一部が、新たに緒明記念の森として楽寿園に取り込まれました。